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大阪家庭裁判所 昭和32年(家イ)734号 命令

申立人 山田平治(仮名)

相手方 青野まき(仮名)

利害関係人 大阪市

主文

本件調停の終了に至るまで、

一、相手方は別紙目録記載の建物について譲渡、担保権等の設定その他の処分をしてはならない。

二、相手方は利害関係人から上記建物の区画整理による移転補償金を受理し、又はその債権につき譲渡担保権設定その他の処分をしてはならない。

三、利害関係人は上記補償金を相手方に支払つてはならない。

相手方が正当な事由なくこの措置に従わないときは金五〇〇〇円以下の過料に処せられる。

(家事審判官 谷村経頼 調停委員 武井竹五郎 調停委員 樋口敏)

(別紙目録省略)

参照

(仮の処分を発した経緯)

申立人と相手方は大正五年一〇月○○日婚姻したが同三〇年三月○日大阪家庭裁判所昭和二九年(家イ)第一三〇八号事件の離婚調停が成立し同年四月○○日その届出を了した。別紙目録記載の建物は元来申立人の所有である。申立人は八〇余才の老齢であるのと、山本某という評判のよくない人物が申立人の背後にあつて危険である為長女千鶴が昭和三〇年八月○○日附で相手方名義に保存登記をした。これをよいことにして相手方は大阪市の区劃整理で立退による補償金を取得せんと企図したものである。申立人としては本件建物の立退補償金が相手方に入手されるときは申立人としては将来の利害にも影響し二男一女の幸福にも関係があるから緊急の処置を求めたので本件建物の現状保全のための仮処分をした。

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